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 タイトル:『夏はこんなラノベが読みたい』
 寄稿:兵藤晴佳さん(2008年夏祭り企画中間報告感想数トップ)


 いいイベントですよね。夏祭り。これからは、夏の風物詩になりそうです。
 ひととおり読んで感想を書かせていただきましたが、どの書き手さんも僕のうるさいこだわりに誠実に返答してくださったのが何より嬉しかったかな。
 僕のこだわりは、次の三つ。当たり前と言えば当たり前のことですが、テーマとプロットとストーリー。
 でも、この三つがそれぞれ違う分野をカバーしている作品は面白かったなあ、と思います。
 だから、ごくありきたりのテーマでも、プロットかストーリーが、夏を感じさせてくれたのではないでしょうか。
 あるいは、ストーリーがベタでも、夏の風物詩が巧みに織り込まれていたのでしょう。
 また、「夏」そのものが事件を動かす作品もあったかもしれません。
 今年も、きっとそんな作品が読めるだろうと思います。

 僕にとっての夏ラノベは、だいぶん古い作品だけど、菊地秀行『インヴェーダー・サマー』(朝日ソノラマ)。
 どこかの地方都市の夏の終わり。夕暮れ時に若い男女が小舟で川を下る年中行事がクライマックス。
 人知れず忍び寄る世界の危機を背景に、少年時代の切ない恋と、ある男の長い長い青春の終わりが描かれます。

 ピンチは大きいのに、テーマはどこにでもいる人々の身近な出来事。
 この二つを結び付けているのは、日本人を心の底でつなげている伝統的なものの感じ方なのでしょう。

 夏はデッカイ事件が似合う。でも、人間はそれほど強くもカッコよくもない。
 変に気取ったりしないで、誰の心にも潜んでいる、夏しか感じられない何かとつながる、そんな経験をしたい。

 夏祭りが、いつもそんな場所でありますように。
 

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